5大栄養素の一つであるミネラルは、骨や歯などをつくり、たんぱく質や脂質の成分になります。
ビタミンと協力して体の調子を整える働きがあり健康維持に欠かせません。
体内で合成できないため食事からとる事が大切です。
ここでは、ミネラルの働きや効果について書きたいと思います。
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ナトリウム
- 体内の水分調節
- 筋肉、内臓を動かす
- 筋肉や神経の働きを正常に保つ
ナトリウムは、体内の水分量を調節して正常に保ち、神経や筋肉の働きを助けるミネラルです。
カリウムと協力し体内の水分量を調節するほか、筋肉を収縮させたりゆるませたり内臓も動かしています。
更に、神経が情報を全身に伝えたり、糖やアミノ酸の腸管での吸収にも関わっています。
過剰による病気や症状
健康な人の一時的な摂り過ぎは心配する必要は無いと言われています。
毎日の食生活である程度、塩分を意識していないと長期的に摂り過ぎることになり高血圧などを引き起こします。
高塩分の食事を続けると、ナトリウムとカリウムのバランスが崩れ喉の渇きやむくみなどが起こる場合があります。
また、高血圧になると血管や心臓に負担がかかり、動脈硬化・心筋梗塞・不整脈・心不全などの重大な病気につながります。
ナトリウムを多く含む食品 摂り過ぎに注意
- ポテトチップスなどの菓子類
- カップめんなどのインスタント食品
- ビーフジャーキーやサラミなどの加工肉
- 塩辛、たらこ、するめ
- 漬物、梅干し
- 味噌、醤油
カリウム
- 浸透圧の調整
- 心臓や筋肉の機能調整
- 高血圧予防
- 利尿作用
カリウムの多くは、細胞内に分布しています。
細胞外液に多く分布するナトリウムと協力して心臓の拍動や神経伝達をスムーズに調整します。
水分量も調節し筋肉も動かしています。
また、カリウムを摂取することでナトリウムの排出を促し血圧を正常に保ちます。
酸とアルカリの平衡を保ち、酵素反応を調整しエネルギー代謝にも関与しています。
ナトリウムと協力して働くカリウム
通常の食事をしていれば体内のナトリウムが欠乏するような事はありません。
塩分過多により体内調整でカリウムが使われ、カリウム欠乏にならないように気を付けなければなりません。
つまり、塩分の摂り過ぎに気を付け、カリウムを積極的に摂ることが大切です。
カリウムは水溶性のため調理の際は失わないように気を付けましょう。
注 カリウムは腎不全の場合には禁忌です。
また、腎臓の機能が低下している人はカリウム制限が必要になります。
欠乏による病気や症状
カリウムは、利尿剤や下剤の長期服用・また下痢や嘔吐・多量の発汗などにより欠乏することがあり、欠乏すると以下の様な症状を引き起こします。
- むくみ
- 喉の渇き
- 筋肉痛
- 運動能力の低下
- 脱力感
- 手足のしびれ
- 食欲不振
- 吐き気
- 便秘
- 筋肉のけいれん
- 不整脈
- 自律神経失調症
- 腸閉塞
カリウムを多く含む食品
- 小麦胚芽、オートミール、そば、玄米
- 大豆、小豆、納豆
- アボカド、バナナ、メロン、スイカ
- 里芋、大和いも、さつまいも、じゃがいも
- パセリ、ほうれん草、モロヘイヤ、よもぎ、芽キャベツ、にら、しそ
- 切り干し大根、かんぴょう
- ピスタチオ、アーモンド、落花生、ぎんなん
- エリンギ、ぶなしめじ
- 昆布、わかめ、焼きのり、とろろこんぶ、ひじき
- かつお、さわら、かんぱち
カルシウム
- 骨や歯を作り強くする
- 神経の興奮の抑制
- 免疫力を高める
- ホルモンの分泌を調整
- 筋肉や内臓を動かす
- 血液を凝固させる
- pHの調節
- 有害金属の毒性軽減
カルシウムの99%が骨と歯などの硬い組織に分布し、骨から出たり入ったり絶えず作り直されています。
残りの1%は細胞や血液中に分布しており、心臓や筋肉が正常に収縮するのを保つ働きをしています。
また、血液凝固・血管・神経活動、ホルモン分泌などにも関与しており、不足すると骨がもろくなるだけでなく、イライラや神経過敏なども出てくることがあります。
日本人は、慢性的にカルシウムが不足している状態と言われています。
ただ、サプリメントで摂り過ぎになることもあります。
摂り過ぎが続くと、頭痛・筋肉痛・腎臓結石・尿路結石などになる場合があります。
マグネシウムや鉄・亜鉛などのミネラルの吸収も阻害されるようになります。
欠乏による病気や症状
血液中のカルシウム濃度は、常に一定に保たれていなければなりません。
血液中のカルシウム濃度が低下すると、濃度を保つために骨のカルシウムが血液中に溶けだすため、骨の形成が阻害されます。
また、骨から必要以上のカルシウムが流し出されると、血管や脳などに入り込みそれが沈着することによって、さまざまな病気を引き起こします。
カルシウム不足が続くと、以下の様な症状などを引き起こすことがわかっています。
- ピクピクとまぶたがけいれんする
- 神経過敏
- うつ
- もの忘れが多くなる
- 不眠
- 疲労感
- 免疫異常
- 動悸
- 手足のしびれ
- 足がつる
- 骨粗しょう症
- 肩こり、腰痛
- 変形性関節痛
- 腫瘍
- 高血圧
- 糖尿病
- 動脈硬化
- アレルギー
欠乏する原因
普段カルシウムを摂っているつもりでも、以下の行動や、閉経後のホルモン変化などにより不足の状態になってしまう場合があります。
- 多量飲酒 カルシウムが尿に排出されやすくなる。
- 喫煙 胃腸の働きを悪くしカルシウムの吸収を妨げる。
- 必要以上の塩分・糖質・脂質・たんぱく質の摂り過ぎ カルシウムの吸収を妨げる。
- 加工食品などに含まれるリンの摂り過ぎ 骨のカルシウムが減少し、カルシウムの吸収を妨げる。
- 閉経後のホルモンの変化 腸でのカルシウムの吸収低下や、カルシウムの吸収を助けるビタミンDをつくる働きが弱くなる。
- ビタミンD不足 腸や腎臓でのカルシウム吸収率低下。
- 過度のストレス 腸でのカルシウムの吸収を妨げる。
カルシウムを多く含む食品
- 大豆、きな粉や納豆・がんもどきなどの大豆製品
- 牛乳、チーズ、ヨーグルト
- ごま、アーモンド
- 切干し大根、
- モロヘイヤ、小松菜、ブロッコリー、水菜、しそ、大根の葉、バジル、ケール
- きくらげ
- 青のり、わかめ、寒天、ひじき
- 干しエビ、煮干し、わかさぎ、ししゃも、あゆ、田作り、しらす
- はまぐり
※ほうれん草のカルシウムは吸収されにくいですが、乳製品と一緒に食べることで吸収されるようになります。
またお肉の骨のカルシウムを摂りたい場合、酢を加えて煮ることでカルシウムが溶けだし、摂取量が1.8倍アップします。
マグネシウム
- 神経の興奮を抑制
- 筋肉の収縮
- 酵素の活性化
- 有害金属の毒性軽減
約70%は骨に分布しており骨や歯にカルシウムを定着させる働きがあります。
また、糖質代謝・体温調節・筋肉収縮・神経伝達・ホルモンの分泌・たんぱく質の合成などの働きにも関わっています。
マグネシウムの別名は「抗ストレスミネラル」。
神経の高ぶりを押さえる作用があるため、穏やかな精神状態を保ち、また落ち込みや無気力・集中力の低下を防ぎます。
マグネシウムが欠乏すると、カルシウムと共に骨から溶出され骨や歯がもろくなります。
また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病に関連するとも言われています。
けいれんやしびれを引き起こすことも。
マグネシウムとカルシウムはバランスが重要で1:2が理想とされています。
マグネシウムが不足する原因
- 糖質、脂質の摂り過ぎ
- アルコールの摂り過ぎ
- 加工食品や清涼飲料水の摂り過ぎ
- 過度のストレス
- 過度の運動
また、たんぱく質が足りないとマグネシウムの吸収が遅れます。
欠乏による病気や症状
マグネシウムが欠乏すると、以下の様な症状や病気を引き起こします。
- 虚血性心疾患
- 動脈硬化
- 高血圧
- 不整脈
- 糖尿病
- 光に敏感になる
- めまい
- だるい
- 頭痛
- 月経前症候群(PMS)
- 骨粗しょう症
- 足のつり
- 筋肉けいれん
マグネシウムを多く含む食品
- 小豆、大豆、大豆製品(豆乳・きな粉・豆腐・納豆・がんもどきなど)
- 小麦胚芽、オートミール、アマランサス、そば、ごま
- ひまわりの種、かぼちゃの種
- アーモンド、カシューナッツ、くるみ
- ほうれん草、枝豆、おかひじき
- バナナ、アボカド
- 青のり、わかめ、焼きのり、あおさ(素干し)
- 桜えび、しらす干し
- ほっき貝、みる貝、あさり
リン
- 骨や歯を作る
- エネルギーを作る
- 細胞膜やDNAを作る
人体に存在するリンの殆どは、骨や歯の構成成分としてカルシウムと共に存在しています。
体内のリンの量は、リンの骨への沈着と骨から血液への溶出、そして腎からの再吸収によって調節されています。
細胞膜の主成分であるリン脂質は、脳にとっても重要な物質でリン無しでは作れません。
また、遺伝に関わるDNAを作るのにもリンが不可欠です。
エネルギーを蓄える重要な働きもしています。
過剰による病気や症状
食品添加物の「リン酸塩」が多くの加工食品や清涼飲料水に含まれているため、摂り過ぎないように注意すべき栄養素です。
リンは肉や魚に含まれていますが、加工食品に添加されているものはピロリン酸塩やメタリン酸塩など人間の体に存在しない形の化合物が使用されている可能性があります。
原材料に「調味料」「酸味料」「かん水」「膨張剤」「pH調整剤」「加工デンプン」「乳化剤」とあればそこには化学合成されたリンが含まれている可能性があります。
リンの過剰摂取が続くとカルシウムの吸収が悪くなり、骨からカルシウムが溶け出します。
その結果、骨粗しょう症になります。
カルシウムの吸収が悪くなればマグネシウムと鉄の吸収も悪くなります。
また、長期にわたる過剰摂取で腎不全を起こすこともあります。
欠乏による病気や症状
・体重減少・食欲不振・骨粗しょう症・発育不全・腎臓結石・尿路結石
多くの食品に含まれていますので、健康な人は不足の心配はありません。
摂り過ぎないように注意するべき栄養素です。
※動物性食品や加工食品を一切食べない人は不足を招くことがありますのでナッツ類からの摂取が必要です。
リンを多く含む食品
- 小麦胚芽、オートミール、アマランサス
- ブラジルナッツ、アーモンド、ピスタチオ、ごま
- ししゃも、わかさぎ、田作り、さくらえび、いわし、さけ、あじ
- 鶏ささみ、豚ヒレ肉、鶏・豚・牛レバー
リンは、多くの加工食品や清涼飲料水に含まれています。
※この場合、化学合成で製造された物質で、消費者には具体的な物質名はわかりません。
リンは加工食品や加工肉からではなく、生鮮食品などから摂取するのが良いでしょう。
その他の栄養素も摂取できますので。
加工食品には、発がん性物質が含まれる着色料などの添加物も使用されている場合があります。
鉄
- 貧血予防
- 筋肉を動かす
- 有害金属の毒性軽減
血液中の赤血球にあるヘモグロビンは、たんぱく質のグロビンとヘムが結合した色素たんぱく質です。
ヘモグロビンは、全身に酸素を運んでおり、鉄はヘムをつくるのに不可欠な成分です。
鉄は、筋肉のミオグロビンと結合して酸素の運搬と貯蔵を行っています。
そのため、鉄が欠乏すると酸素を取り込めなくなり筋力が低下します。
また、解毒に必要なシントクロムという酵素をつくるのに必要です。
シントクロムは、ホルモンをつくったり脂肪酸の代謝にも関わっています。
体内でコラーゲンを合成する際に必要なのは、鉄とビタミンCです。
そのため、鉄が不足するとコラーゲンが合成できず、ハリが無くなりシワができやすくなります。
欠乏による病気や症状
- 頭痛
- めまい
- 動悸
- 息切れ
- 低体温
- 氷食症
- 食欲不振
- 肩こり
- 口内炎
- 不眠
- 倦怠感
- 集中力、運動能力の低下
- 免疫力低下
- 感染抵抗力の低下
- 生理不順
- 便秘
- シミ、シワ、肌の乾燥
- 髪の毛が細くなる、パサつく、抜け毛が増える
- 爪の変形
鉄は成長期の子ども・妊娠期・月経時は必要量が増えます。
また、激しい運動でも不足するため注意が必要です。
鉄を多く含む食品
- 豚レバー、鶏レバー、牛レバー
- 赤身肉
- 大豆、きな粉や納豆などの大豆製品
- ごま、カシューナッツ、アーモンド
- 小松菜、菜の花、おかひじき、切干し大根、よもぎ
- グリーンピース、枝豆、レンズ豆、小豆
- きくらげ
- 焼きのり、寒天、ひじき、岩のり
- しじみ、あさり、赤貝、ほっき貝
- ししゃも、わかさぎ、いわし
※野菜や穀類に含まれるのは「非ヘム鉄」で、吸収が悪いため動物性たんぱく質や、ビタミンCが多い果物と一緒に摂ることで吸収率がアップします。
レバーなど動物性食品に含まれている「ヘム鉄」は、非ヘム鉄の約5倍の吸収率があります。
亜鉛
- 細胞の生成、成長促進
- インスリンの合成を促進
- 免疫力アップ
- 抗酸化作用(ビタミンAのもつ抗酸化作用の活性促進)
- 味覚を正常に保つ
- 精神安定
亜鉛は、体内の300種類を超える酵素の構成成分としてたんぱく質合成など様々な反応に関与し、生命活動に欠かせない重要なミネラルです。
血糖値を下げるインスリン、生殖に必要な女性ホルモンと男性ホルモンなど、重要な働きをするホルモンの合成や分泌に不可欠です。
また、糖代謝・アルコール代謝・細胞内の抗酸化作用にも関わっています。
亜鉛は、味を感じる味蕾(みらい)という細胞をつくる働きをしており、不足すると味覚障害を引き起こします。
神経伝達物質を作るのにも必要な亜鉛。
亜鉛が体内に十分にあることで、精神安定や脳の機能を高める効果があると考えられています。
欠乏による病気や症状
- 味覚、嗅覚障害
- 食欲不振
- 免疫機能低下
- 貧血
- 血糖値上昇
- 爪が欠ける
- 成長遅延
- 精神障害(うつなど)
- 生殖機能低下
- 骨形成異常
- 損傷部位治癒力低下(傷が治りにくくなる)
- 毛髪の発育が悪くなる(切れ毛、枝毛、抜け毛)
- 肌荒れ
- 夜盲症
- 慢性下痢
亜鉛を多く含む食品
- 牡蠣、しじみ、ホタテ貝、たらばがに、たこ、ホタルイカ、さざえ
- うなぎ、たらこ
- 豚・牛・鶏レバー(含有量が多い順)
- 赤身肉
- 卵黄
- 精白米
- 小麦胚芽・ライ麦
- 大豆、きな粉や納豆などの大豆製品
- カシューナッツ、アーモンド、松の実、ごま
- まいたけ
- 焼きのり
- ピュアココア、抹茶
亜鉛には、細胞分裂や新陳代謝を促す働きがあるため、適量の摂取で免疫細胞が活性化し免疫力を高める効果が期待できます。
亜鉛の摂取量は一般的に不足傾向にあるため、普通の食生活をしていて摂り過ぎになることはないと言われています。
成長期の子どもやストレスがかかっている時は、亜鉛の需要が高まり欠乏しやすくなります。
ダイエット中なども欠乏しないよう注意が必要です。
※サプリメントで長期にわたり亜鉛を摂取している場合、知らない間に過剰になり鉄や銅の吸収を妨げてしまう可能性があるので注意が必要です。
鉄や銅が欠乏すると善玉コレステロール値が低下するなど様々な症状や病気を引き起こしてしまいます。