一般的に食べられているアジ(マアジ)は通年出回っていますが、4月~7月頃までが旬とされています。
旬に獲れるアジは小~中型で脂の乗りがよく美味しいです。
アジの栄養素
ビタミン |
ミネラル |
ビタミンA | ナトリウム |
□ビタミンD | カリウム |
ビタミンE | カルシウム |
ビタミンB1 | マグネシウム |
ビタミンB2 | リン |
●ナイアシン | 鉄 |
□ビタミンB6 | 亜鉛 |
□ビタミンB12 | 銅 |
葉酸 | マンガン |
パントテン酸 | ヨウ素 |
ビオチン | ●セレン |
クロム |
その他
アミノ酸
アジには、これらの栄養素が含まれています。
1尾 68g(可食部)あたり
●マークで太字が特に多く含まれ、□マークは次に多い栄養素。
無印のものは含有量が少なめの栄養素です。
●マークと□マークの働きや効果について説明したいと思います。
↓無印の栄養素についてはこちらから
13種類のビタミンは体内でどう働くのか
不足しても過剰になっても病気になる!?必須ミネラルの働き
前回は同じ青魚のサバやイワシについて書きましたが、アジはそれらと比べると、ビタミンDとビタミンB12の含有量が大幅に少ないです。
その他の栄養素(ビタミン・ミネラル)の含有量については、同等かやや少なめです。
アミノ酸は同じくらい豊富に含まれており、脂質は少なめです!
□ビタミンD
- 骨形成、骨の石灰化促進
- 神経伝達、筋肉収縮、血液凝固に関与
- 免疫力アップ
- うつ病や精神疾患の抑制
- 有害金属の毒性軽減
カルシウムとリンの吸着を高め、骨の形成に役立つビタミンです。
また、甲状腺ホルモンや副甲状腺ホルモンと協力して、血中のカルシウム濃度を安定させる働きもしています。
カルシウムを補給してもビタミンDが不足しているとうまく吸収されず骨粗しょう症を引き起こすことがあります。
骨以外に筋肉・腎臓・腸管・心臓などにも入り込みいろいろな調整役をするビタミンD。
体内に侵入した細菌やウイルスなどに対して過剰な免疫反応を抑制し、必要な免疫機能を促進する働きもあります。
また、「β-ディフェンシン」という抗菌ペプチドを皮膚上に作らせ、バリア機能を高めることもわかっています。
そのため風邪やインフルエンザ、気管支炎や肺炎などの感染症の発症・悪化の予防や、アレルギー症状の改善に効果が期待できます。
ビタミンDは魚に多く含まれていますが、紫外線により皮下で合成されるため1時間程度の日光浴をすることで不足を補えると言われています。
とは言え、真夏に長時間の日光浴は危険ですし、皮膚への悪影響が考えられるため魚からの摂取はとても大切です。
※日照の少ない地域の人や、日に当たる機会が少ない人はビタミンDを含む食品を積極的に摂る必要があります。
●ナイアシン(ビタミンB群 科学名ニコチン酸)
- 二日酔い予防
- 三大栄養素(炭水化物・脂質・タンパク質)の代謝
- 神経の安定
- 皮膚や粘膜の健康維持
体内でニコチンアミド(NAD)に変化し補酵素として働きます。
NADは、アルコールを分解してアセトアルデヒドという物質にし、さらに分解して無毒な物質に変えます。
また、三大栄養素からエネルギーを作るのに必要な酵素を助ける補酵素として働きます。
ナイアシンは脳神経の働きを助け、皮膚や粘膜の健康を保つことにも欠かせません。
□ビタミンB6
- 筋肉をつくる
- 脂肪肝の予防
- 脳の興奮を鎮める
- 月経前症候群(PMS)を防ぐ
- 有害金属の毒性軽減
たんぱく質を分解してエネルギーに変え、分解したアミノ酸で筋肉・血液などをつくり、また脂質もエネルギーに変え脂質が溜まるのを防ぎます。
更に、神経伝達物質の合成を助け脳を正常に保つ働きがあります。
ビタミンB6は、幸せホルモンのセロトニンの合成に関与しているため、精神の安定につながる栄養素です。
ビタミンB6の補充により、気分のむら・イライラ・もの忘れ・不安などの症状が緩和できることがいくつかの研究で示されています。
ビタミンB6は、腸内細菌がつくることもできるので、欠乏症はあまり起こりません。
しかし、たんぱく質の摂取量が多いほど必要になります。
また、妊娠中や月経前・抗生物質を長期服用している場合などは、不足に注意しなければなりません。
欠乏症状
- 食欲不振
- 成長の抑制
- 脂漏性皮膚炎
- 口内炎
- 口角炎
- 結膜炎
- 貧血
- 手足のしびれ
ビタミンB6は、たんぱく質の摂取量が多いほど必要になります。
□ビタミンB12
- 貧血予防
- 神経細胞を正常に戻す
- メラトニンの生成
ビタミンB12は、葉酸と共にたんぱく質やアミノ酸の代謝で補酵素として働きます。
また、脳の神経細胞の細胞膜に入り込み修復や合成を助けます。
傷ついた神経細胞を正常に戻し、手足のしびれや肩こりを和らげる働きがあります。
赤血球をつくるのに必要な栄養素なため、貧血を予防しますが葉酸と一緒に摂取することが大切です。
葉酸は、植物性では枝豆・アボカド・ほうれん草・アスパラガスなどに豊富に含まれています。
ビタミンB12は、妊娠期や授乳期には不足しないように気を付けなければなりません。
妊娠期に不足すると、貧血やむくみを引き起こし流産の危険もあると言われています。
授乳期の不足は、貧血のほか乳児の発達障害や運動障害を引き起こす危険性があります。
「オレンジページnet」で、良い組み合わせのレシピが紹介されています。
↑このお料理には、葉酸が豊富なほうれん草を使用します。
ビタミンB12は、レバーや魚介類に多く含まれているため、ベジタリアンの人は納豆や味噌などの発酵食品から摂取する必要があります。
●セレン
- 老化防止
- 更年期障害の改善
- 有害金属の毒性軽減
たんぱく質と結合した形で存在し、活性酸素の働きを止める抗酸化酵素をつくります。
それにより、老化防止・更年期障害の改善・血管や目の働きの低下を予防すると考えられています。
強い抗酸化作用があるビタミンC・ビタミンE・βカロテンなどと一緒に摂る事でセレンの働きがアップすると言われています。
また、ビタミンCの再生や甲状腺ホルモンの活性化にも関わっています。
BCAA
魚類には、必須アミノ酸のイソロイシン・ロイシン・バリンの総称である、フィトケミカルのBCAAが含まれており、以下の様な効果があります。
- 運動能力を高める
- 筋肉をつくる
- 筋肉を修復
- 脂肪燃焼
- 血管拡張
- 肝機能強化
- 疲労回復
人間の筋たんぱく質中の約35%はBCAAでできています。
運動後にBCAAを摂取することで、筋肉疲労の回復や筋肉の修復が期待できます。
また、脂肪を効率よく燃焼させ、エネルギーに変える時に不可欠なアミノ酸です。
そのほかBCAAを含む食品
- 卵
- チーズや牛乳などの乳製品
- 納豆や豆腐などの大豆製品
- 玄米
- 牛、豚、鶏肉
フィトケミカル(ファイトケミカル)とは
植物が紫外線や有害物質、害虫や外敵などから自身を守るために作り出す物質です。
野菜や果物、豆類などの植物性食品に、色素・香り・苦み・あくなどの成分として含まれています。
フィトケミカルは強い抗酸化作用があるため、老化や病気を防ぎ健康を維持するのに役立ちます。
主なフィトケミカル
- カロテノイド(赤・黄・オレンジ色の色素成分)
- ポリフェノール(色素、あくや苦みなどの成分)
- イオウ化合物(にんにくなどの臭いや、大根などの辛み成分)
- フコイダン(食物繊維の一種で海藻に含まれる)
- βグルカン(食物繊維の一種できのこに多く含まれる)
フィトケミカルは多種類を摂ることで機能を発揮するので、色々な食品をバランスよく取ることが大切です。
アジには、皮膚や粘膜の健康を維持するナイアシンや、老化防止などに役立つセレンが豊富に含まれています。
フライや南蛮漬けや煮付けなど、ぜひ色々なお料理に取り入れてみて下さい。
スープやお味噌汁に入れても!