「畑の肉」とも言われるたんぱく質が豊富な大豆。
煮物や炒め物、グラタンやスープに入れたり和洋中問わず使える食材です。
大豆の栄養素
ビタミン |
ミネラル |
ビタミンA | ナトリウム |
□ビタミンE | ●カリウム |
●ビタミンK | ●カルシウム |
●ビタミンB1 | ●マグネシウム |
□ビタミンB2 | ●リン |
□ナイアシン | ●鉄 |
●ビタミンB6 | ●亜鉛 |
●葉酸 | ●銅 |
●パントテン酸 | ●マンガン |
●ビオチン | □セレン |
クロム | |
●モリブデン |
その他
食物繊維
アミノ酸
大豆には、これらの栄養素が含まれています。(加熱前です)
●マークで太字が特に多く含まれ、□マークは次に多い栄養素。
無印のものは含有量が少なめの栄養素です。
●マークについて説明したいと思います。
□マークと、無印の栄養素についてはこちらから
前回は小豆について書きましたが、大豆に含まれるビタミンとミネラルは、小豆と比べて全体的に含有量が多いです。
ビタミンA・ナイアシン・ナトリウム・クロム・モリブデンは、同等くらいです。
小豆の栄養素についてはこちらから
ビタミンK
- 血液凝固成分を作る
- 骨や歯の形成
血液を凝固させるにはビタミンKが必要です。
血液凝固成分により出血しても自然に止血するのです。
また、骨のカルシウム石灰化にも関わり骨の形成に重要な役割を果たしています。
ビタミンKが欠乏すると出血が止まりにくくなります。
また、骨粗しょう症にならないためにもカルシウム・ビタミンDと共に欠乏しないように気を付けなければなりません。
※ビタミンKは、通常摂り過ぎても害がありません。
但し、血栓症にかかっている人や抗血液凝固剤を服用している場合は、摂り過ぎないように気を付けなければなりません。
ビタミンB1
- 疲労回復
- 糖質代謝
- 脳の活性化
- アルツハイマー予防
糖質がエネルギーに変化するのに不可欠です。
不足すると炭水化物の分解がうまくいかずブドウ糖が不足するので、集中力や記憶力の低下や疲労感・だるいなどの症状を引き起こします。
また、運動能力が低下することもあります。
ビタミンB6
- 筋肉をつくる
- 脂肪肝の予防
- 脳の興奮を鎮める
- 月経前症候群(PMS)を防ぐ
- 有害金属の毒性軽減
たんぱく質を分解してエネルギーに変え、分解したアミノ酸で筋肉・血液などをつくり、また脂質もエネルギーに変え脂質が溜まるのを防ぎます。
更に、神経伝達物質の合成を助け脳を正常に保つ働きがあります。
ビタミンB6は、幸せホルモンのセロトニンの合成に関与しているため、精神の安定につながる栄養素です。
ビタミンB6の補充により、気分のむら・イライラ・もの忘れ・不安などの症状が緩和できることがいくつかの研究で示されています。
ビタミンB6は、腸内細菌がつくることもできるので、欠乏症はあまり起こりません。
しかし、たんぱく質の摂取量が多いほど必要になります。
また、妊娠中や月経前・抗生物質を長期服用している場合などは、不足に注意しなければなりません。
欠乏症状
- 食欲不振
- 成長の抑制
- 脂漏性皮膚炎
- 口内炎
- 口角炎
- 結膜炎
- 貧血
- 手足のしびれ
ビタミンB6は、たんぱく質の摂取量が多いほど必要になります。
大豆のほか、魚や肉、玄米などにも多く含まれています。
葉酸(ビタミンB群)
- 貧血予防
- 皮膚、粘膜の強化
- 動脈硬化予防
- 胎児の正常な発育
葉酸は、ビタミンB12と共に全身に酸素を運ぶ赤血球をつくります。
鉄を摂っていても葉酸とビタミンB12が不足すると貧血になります。
皮膚や粘膜を強くする葉酸(ビタミンB12と共に)。
皮膚や粘膜は、最初にウイルスや細菌などの外敵にさらされる器官であるため、強化することで外敵の侵入を防ぐことができ感染症やアレルギーなどを予防することができます。
※体にある粘膜は、鼻や口の中の粘膜・のどの粘膜・胃や腸の粘膜・膀胱や子宮の粘膜などといった様にたくさんの粘膜があります。
ビタミンB12は、魚介類やレバーに多く含まれています。
かつお節出汁や煮干し出汁のスープに大豆を入れたり、魚料理に大豆を添えたり、一緒に炒めるなどして食べると良いでしょう。
この葉酸とビタミンB12の組み合わせが、動脈硬化も予防します。
パントテン酸(ビタミンB群)
- 糖質、脂質、たんぱく質の代謝
- HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やす
- ストレス緩和
- 美肌、美髪効果
体内に吸収されたパントテン酸は、補酵素のコエンザイムA(CoA)をつくる成分となります。
(CoAは体内に広く分布し幅広い代謝に関わっています。)
パントテン酸は善玉コレステロールを増やす働きがあるため、動脈硬化を予防し、またビタミンB6や葉酸と共に免疫力を高めるために働き、感染症を防ぐ効果があります。
更にビタミンCの働きをサポートしているので、コラーゲンがつくられ健康な皮膚と髪を保つことができます。
ビオチン(ビタミンB群)
- 糖質、脂質代謝
- 皮膚、粘膜、毛髪の健康維持
- 皮膚炎改善
体に取り込まれたビオチンは、酵素たんぱく質と結合し糖質・アミノ酸・脂肪酸の分解に関わる補酵素として働きます。
また、DNAをつくる時にも大事なサポートをします。
たんぱく質をつくる働きがあるビオチンは、皮膚や粘膜・毛髪の新陳代謝を助け健康な状態を維持します。
また、皮膚炎を引き起こす原因物質のヒスタミンがつくられるのを防ぎ、その症状を改善します。
ビオチンは、レバー・魚介類・ナッツ類・卵黄・海藻など様々な食品に含まれており、通常の食生活をしていれば欠乏する心配はなく、尿中に速やかに排泄されるため過剰症の心配もないと言われています。
ポリフェノール
大豆には抗酸化作用のある、サポニンとイソフラボン(ポリフェノールの一種)が含まれています。
大豆サポニン
大豆サポニンは、LDLコレステロールの酸化を抑え動脈硬化を予防し、また免疫力アップやガン予防、肝機能の改善に効果を発揮します。
イソフラボン
女性ホルモンであるエストロゲンと似た作用があり、更年期障害の改善や骨粗しょう症を予防すると言われています。
活性酸素
活性酸素は、体を作っている脂質やたんぱく質などを傷つけ過酸化脂質を発生させます。
そして過酸化脂質は、ガンなど様々な病気の元になり、またシミやしわなども引き起こします。
よって体内の活性酸素を増やさないように気を付け、減らすことで老化を防止し健康を維持できます。
活性酸素は、抗酸化作用のあるポリフェノールを摂取する事で抑制できます。
また、ビタミンA・C・Eも強い抗酸化作用があります。
※体内には、活性酸素を消去する機能が備わっていますが、この機能は加齢とともに低下します。
活性酸素が増える原因
- 喫煙
- 受動喫煙
- 大量の飲酒
- 過度のストレス
- 過度の運動
- 栄養の偏り
- 紫外線
- 排気ガス
- 農薬
レシチン
大豆には、肌や内臓・神経などあらゆる部分の細胞膜をつくるレシチンという成分が含まれています。
脂肪やコレステロールが血管壁に付着するのを防ぎ、動脈硬化を予防します。
また、脳機能の活性化も期待できます。
大豆オリゴ糖
また、大腸まで届き腸内細菌のエサになり、腸内環境を改善する大豆オリゴ糖も含まれています。
便秘改善のほか、動脈硬化の予防や虫歯予防・免疫力アップが期待できます。
大豆オリゴ糖は、野菜などのオリゴ糖に比べ少量で善玉菌を増やせるそうです。