免疫とは、病原体から体を守るために人間に備わっている機能のこと。
病気になるのを防いだり、かかった病気を治そうとする力が「免疫力」です。
免疫力が低くなると感染症にかかりやすくなったり、また肌荒れやアレルギー症状、がんや糖尿病・心臓疾患など様々な病気にかかりやすくなってしまいます。
免疫力を高めるためには、適度な運動・質の良い睡眠・体温を上げるなどいろいろな方法がありますが、今回は腸内環境を整え免疫力を高める食物繊維についてです。
※極端に一部の免疫力が高まりすぎると、本来なら攻撃対象ではない自分自身の細胞や組織を攻撃して起こる「自己免疫疾患」を発症してしまう場合があるため、高ければ高いほど良いというわけではありません。
30代をピークに低下する免疫力ですが、以下も免疫力低下の原因になります。
低体温、疲労、運動不足、喫煙、過度のストレス、過度の飲酒、睡眠不足、乱れた食生活
腸内環境を整えて免疫力を高める
免疫機能の60~70%は「腸」に集中しているため、腸内細菌のバランスを整えることは免疫力を高めることに繋がります。
腸内には大腸の働きを助ける善玉菌や、有害物質を作る悪玉菌、また善玉菌・悪玉菌の優勢な方に味方をする日和見菌(ひよりみきん)がいます。
腸内環境は、これら3つの腸内細菌のバランスで決まります。
腸内環境が整うと免疫力が高まるほか、便秘解消や美肌効果も期待できます。
反対に腸内の悪玉菌が多いと、肌荒れを引き起こしたり免疫力が低下します。
便秘や下痢、ガンなどの病気を発症する原因にも。
腸内環境の良し悪しは、便の色や硬さ・においで判断できると言われています。
例えば健康な人の便は、黄色がかった褐色でバナナくらいの太さをしており、約80%が水分で約20%が固形物です。
悪玉菌が優位になってしまうと、硬めだったり、コロコロした形状(硬め)・にょろにょろしている便になり、黒色で臭い便になります。
食物繊維
腸の健康をつくっている善玉菌は、食物繊維の摂取によって増やすことができます。
善玉菌を増やすほか、以下の効果や働きもあります。
- 正常なコレステロール値を保つ
- 血糖値の上昇を緩やかにする
- 高血圧の上昇を抑制
- 免疫力アップ
- がん予防
- 有害金属の排泄促進
- 整腸作用
食物繊維は、脂肪の吸収を緩やかにします。
余分なナトリウムや脂肪・コレステロールを包み込んで排出させたり、有害物質や発がん物質を吸着し早く体の外に追い出したり、腸の掃除などをしてくれます。
また、糖質の消化吸収がゆっくりになり、血糖値の上昇を抑えるため糖尿病の予防にもなります。
更に、消化管内で膨潤し食塊のかさを増し、胃内での滞留時間を延長させますので過食を防ぐことができます。
食物繊維の摂取は免疫力を高めることに繋がり、またガン予防やデトックスなど様々な効果が期待できますが、不溶性と水溶性を2:1で摂るのがよいと言われています。
食物繊維の摂取目標量は、18~69歳で1日当たり男性20g以上、女性18g以上となっていますが、現代の日本人の多くは目標量に達しておらず慢性的に不足傾向にあります。
また、3(不溶性):1(水溶性)の割合になっている人が多い様です。
不溶性食物繊維のみの摂り過ぎは排便がスムーズにいかなくなる原因になり、水溶性のみの摂り過ぎは下痢を引き起こし必要なミネラルが排出されてしまう場合があるため、バランスよく摂取することが大切です。
食物繊維が多い食品
植物性食品(豆類、穀類、野菜、果物、きのこ、海藻)には食物繊維が豊富に含まれていますが、以下は含有量が特に多いものです。
不溶性食物繊維が多い食品(水に溶けない)
- きくらげ、干ししいたけ
- かんぴょう
- 干し柿
- 小豆、大豆、いんげん豆、ひよこ豆などの豆類
- おから
- 酒粕
- とうがらし、モロヘイヤ、よもぎ、ブロッコリー、パセリ、菜の花、しそ
- オートミール
- しその実、とんぶり
- たけのこ
- 栗、アボカド
- 納豆、みそ
水溶性食物繊維が多い食品(水に溶ける)
- いんげん豆、大豆
- 干し柿
- アボカド、キウイフルーツ、金柑
- 納豆、豆みそ
- モロヘイヤ、ごぼう、にんにく、オクラ、菜の花、春菊、芽キャベツ
- にんにく、エシャレット
- 梅干し
- オートミール、大麦(押麦)
- ピュアココア
食物繊維総量が多い食品
- きくらげ、干ししいたけ、ひじき
- いんげん豆、ひよこ豆、小豆などの豆類
- おから
- しその実、とんぶり
- よもぎ、パセリ、ごぼう、しそ、エシャレット、とうがらし
- 栗、アボカド
- 納豆、みそ
さいごに
食物繊維は、充分に摂取することで腸内環境を整え、免疫力を高めるのに役立つという事がお解りいただけたかと思います。
またダイエット効果(余分な脂肪やコレステロールを包み込んで排出させる)やガン・糖尿病などの予防にも役立ちます。
毎日の食事にできるだけ、豆類・穀類・野菜・果物・きのこ・海藻を取り入れることで腸内環境が整い、更にそれぞれのビタミンやミネラルも摂取することができます。
ビタミンやミネラルは、生命活動に欠かせない栄養素で様々な健康効果があります。
3大栄養素(タンパク質、脂肪、炭水化物)の摂取も重要ですが、この様なものに偏りがちという人は、植物性食品もたっぷりと取ってみてはいかかでしょうか。
栄養バランスが整い、免疫力アップ(食物繊維で腸内環境が改善し免疫力アップ・栄養素の働きで免疫力アップ)が期待できます。
上記で特に食物繊維が多い食品を上げましたが、忙しい毎日2:1のバランスを意識して食事をするのは難しいことかもしれません。
色々な植物性食品を食べることで、自然にバランスよく食物繊維を摂取できるかと思います。(不溶性2に対して水溶性1)