黒い斑点があるのが特徴の真イワシの旬は春~秋頃です。
イワシの栄養素
ビタミン |
ミネラル |
ビタミンA | ナトリウム |
●ビタミンD | カリウム |
ビタミンE | カルシウム |
ビタミンB1 | マグネシウム |
□ビタミンB2 | リン |
●ナイアシン | 鉄 |
●ビタミンB6 | 亜鉛 |
●ビタミンB12 | 銅 |
葉酸 | マンガン |
□パントテン酸 | ヨウ素 |
□ビオチン | ●セレン |
その他
アミノ酸
イワシには、これらの栄養素が含まれています。
1尾 80g(可食部)あたり
●マークで太字が特に多く含まれ、□マークは次に多い栄養素。
無印のものは含有量が少なめの栄養素です。
●マークの働きや効果について説明したいと思います。
↓□マークと無印の栄養素についてはこちらから
前回はサバについて書きましたが、イワシはサバと比べると、ビタミンB12・パントテン酸・ビオチンの含有量が多いです。
ビタミンB1とナイアシンについては、サバの方が多く含まれています。
さばの栄養素と期待される効果 効能
ビタミンD
- 骨形成、骨の石灰化促進
- 神経伝達、筋肉収縮、血液凝固に関与
- 免疫力アップ
- うつ病や精神疾患の抑制
- 有害金属の毒性軽減
カルシウムとリンの吸着を高め、骨の形成に役立つビタミンです。
また、甲状腺ホルモンや副甲状腺ホルモンと協力して、血中のカルシウム濃度を安定させる働きもしています。
カルシウムを補給してもビタミンDが不足しているとうまく吸収されず骨粗しょう症を引き起こすことがあります。
骨以外に筋肉・腎臓・腸管・心臓などにも入り込みいろいろな調整役をするビタミンD。
体内に侵入した細菌やウイルスなどに対して過剰な免疫反応を抑制し、必要な免疫機能を促進する働きもあります。
また、「β-ディフェンシン」という抗菌ペプチドを皮膚上に作らせ、バリア機能を高めることもわかっています。
そのため風邪やインフルエンザ、気管支炎や肺炎などの感染症の発症・悪化の予防や、アレルギー症状の改善に効果が期待できます。
ビタミンDは魚に多く含まれていますが、紫外線により皮下で合成されるため1時間程度の日光浴をすることで不足を補えると言われています。
とは言え、真夏に長時間の日光浴は危険ですし、皮膚への悪影響が考えられるため魚からの摂取はとても大切です。
※日照の少ない地域の人や、日に当たる機会が少ない人はビタミンDを含む食品を積極的に摂る必要があります。
ナイアシン(ビタミンB群 科学名ニコチン酸)
- 二日酔い予防
- 三大栄養素(炭水化物・脂質・タンパク質)の代謝
- 神経の安定
- 皮膚や粘膜の健康維持
体内でニコチンアミド(NAD)に変化し補酵素として働きます。
NADは、アルコールを分解してアセトアルデヒドという物質にし、さらに分解して無毒な物質に変えます。
また、三大栄養素からエネルギーを作るのに必要な酵素を助ける補酵素として働きます。
ナイアシンは脳神経の働きを助け、皮膚や粘膜の健康を保つことにも欠かせません。
ビタミンB6
- 筋肉をつくる
- 脂肪肝の予防
- 脳の興奮を鎮める
- 月経前症候群(PMS)を防ぐ
- 有害金属の毒性軽減
たんぱく質を分解してエネルギーに変え、分解したアミノ酸で筋肉・血液などをつくり、また脂質もエネルギーに変え脂質が溜まるのを防ぎます。
更に、神経伝達物質の合成を助け脳を正常に保つ働きがあります。
ビタミンB6は、幸せホルモンのセロトニンの合成に関与しているため、精神の安定につながる栄養素です。
ビタミンB6の補充により、気分のむら・イライラ・もの忘れ・不安などの症状が緩和できることがいくつかの研究で示されています。
ビタミンB6は、腸内細菌がつくることもできるので、欠乏症はあまり起こりません。
しかし、たんぱく質の摂取量が多いほど必要になります。
また、妊娠中や月経前・抗生物質を長期服用している場合などは、不足に注意しなければなりません。
欠乏症状
- 食欲不振
- 成長の抑制
- 脂漏性皮膚炎
- 口内炎
- 口角炎
- 結膜炎
- 貧血
- 手足のしびれ
ビタミンB6は、たんぱく質の摂取量が多いほど必要になります。
ビタミンB12
- 貧血予防
- 神経細胞を正常に戻す
- メラトニンの生成
ビタミンB12は、葉酸と共にたんぱく質やアミノ酸の代謝で補酵素として働きます。
また、脳の神経細胞の細胞膜に入り込み修復や合成を助けます。
傷ついた神経細胞を正常に戻し、手足のしびれや肩こりを和らげる働きがあります。
赤血球をつくるのに必要な栄養素なため、貧血を予防しますが葉酸と一緒に摂取することが大切です。
葉酸は、植物性では枝豆・アボカド・ほうれん草・アスパラガスなどに豊富に含まれています。
ビタミンB12は、妊娠期や授乳期には不足しないように気を付けなければなりません。
妊娠期に不足すると、貧血やむくみを引き起こし流産の危険もあると言われています。
授乳期の不足は、貧血のほか乳児の発達障害や運動障害を引き起こす危険性があります。
↓「オレンジページnet」で、良い組み合わせのレシピが紹介されています。
この料理にはニンニクも使いますが、青魚に含まれるDHAやEPAとニンニクの相乗効果で、血液サラサラ効果が期待できます。
DHAとEPAは多価不飽和脂肪酸のひとつ「オメガ3」で、悪玉コレステロールを減らしたり、集中力を高めると言われており、またアレルギー症状を抑制する効果も期待できます。
ビタミンB12は、レバーや魚介類に多く含まれているため、ベジタリアンの人は納豆や味噌などの発酵食品から摂取する必要があります。
セレン
- 老化防止
- 更年期障害の改善
- 有害金属の毒性軽減
たんぱく質と結合した形で存在し、活性酸素の働きを止める抗酸化酵素をつくります。
それにより、老化防止・更年期障害の改善・血管や目の働きの低下を予防すると考えられています。
強い抗酸化作用があるビタミンC・ビタミンE・βカロテンなどと一緒に摂る事でセレンの働きがアップすると言われています。
また、ビタミンCの再生や甲状腺ホルモンの活性化にも関わっています。
BCAA
魚類には、必須アミノ酸のイソロイシン・ロイシン・バリンの総称である、フィトケミカルのBCAAが含まれており、以下の様な効果があります。
- 運動能力を高める
- 筋肉をつくる
- 筋肉を修復
- 脂肪燃焼
- 血管拡張
- 肝機能強化
- 疲労回復
人間の筋たんぱく質中の約35%はBCAAでできています。
運動後にBCAAを摂取することで、筋肉疲労の回復や筋肉の修復が期待できます。
また、脂肪を効率よく燃焼させ、エネルギーに変える時に不可欠なアミノ酸です。
そのほかBCAAを含む食品
- 卵
- チーズや牛乳などの乳製品
- 納豆や豆腐などの大豆製品
- 玄米
- 牛、豚、鶏肉
フィトケミカル(ファイトケミカル)とは
植物が紫外線や有害物質、害虫や外敵などから自身を守るために作り出す物質です。
野菜や果物、豆類などの植物性食品に、色素・香り・苦み・あくなどの成分として含まれています。
フィトケミカルは強い抗酸化作用があるため、老化や病気を防ぎ健康を維持するのに役立ちます。
主なフィトケミカル
- カロテノイド(赤・黄・オレンジ色の色素成分)
- ポリフェノール(色素、あくや苦みなどの成分)
- イオウ化合物(にんにくなどの臭いや、大根などの辛み成分)
- フコイダン(食物繊維の一種で海藻に含まれる)
- βグルカン(食物繊維の一種できのこに多く含まれる)
フィトケミカルは多種類を摂ることで機能を発揮するので、色々な食品をバランスよく取ることが大切です。
いかがでしたでしょうか。
イワシには、ビタミン類が豊富に含まれており、免疫力アップや様々な病気の予防に役立ちます。
特にビタミンDとビタミンB6は食品の中でトップクラスの含有量です。
また、フィトケミカルのBCAAにより筋肉作りやダイエットに役立ち、肝機能強化が期待できそうです。
ぜひ、いろいろなお料理に取り入れてみて下さい。
長時間煮込むことで骨も食べられるようになり、その分たっぷりカルシウムを摂取することができます。
ありがとうございました。