春の七草のひとつ「せり」。
旬は2月~4月頃です。
きりたんぽ鍋には欠かせない食材ですが、お浸しやサラダなどにしても美味しいです。
また、魚介類やお肉などと一緒に炒めたりいろいろなお料理に使えます。
せりの栄養素
ビタミン |
ミネラル |
□ビタミンA | ナトリウム |
ビタミンE | □カリウム |
●ビタミンK | カルシウム |
ビタミンB1 | マグネシウム |
ビタミンB2 | リン |
ナイアシン | □鉄 |
ビタミンB6 | 亜鉛 |
●葉酸 | □銅 |
パントテン酸 | ●マンガン |
□ビタミンC |
その他
食物繊維
せりには、これらの栄養素が含まれています。
●マークで太字が特に多く含まれ、□マークは次に多い栄養素。
無印のものは含有量が少なめの栄養素です。
●マークと、□マークの働きや効果について説明したいと思います。
↓無印の栄養素についてはこちらから
13種類のビタミンは体内でどう働くのか
不足しても過剰になっても病気になる!?必須ミネラルの働き
□ビタミンA
せりに含まれるβカロテンが体内でビタミンAに変わります。
- 皮膚、粘膜を健康に保つ
- 成長促進
- 抗酸化作用
- ガン予防
- 免疫力アップ
周りが暗くなり慣れてくると見えるようになるのは、ビタミンAがあるからです。
色の違いを見分ける力もビタミンAの働きによるもので、視覚と視力を正常に保つのに不可欠な栄養素です。
不足すると暗い所で物を見る機能が低下します。
ビタミンAは皮膚や消化器官などの上皮の機能を守りウィルスの侵入を防ぎ、また活性酸素を消去する抗酸化作用があるため、ガンや動脈硬化・心疾患などの予防に役立ちます。
不足すると
ビタミンAは、子どもの骨の成長に大事な働きをするため不足すると成長障害などの原因になります。
また、皮膚や粘膜が乾燥し感染症への抵抗力が弱くなり風邪などを引きやすくなります。
そのほか、皮膚や髪がかさつく・消化不良を起こす・爪がもろくなるなどの症状も起こります。
●ビタミンK
- 血液凝固成分を作る
- 骨や歯の形成
血液を凝固させるにはビタミンKが必要です。
血液凝固成分により出血しても自然に止血するのです。
また、骨のカルシウム石灰化にも関わり骨の形成に重要な役割を果たしています。
ビタミンKが欠乏すると出血が止まりにくくなります。
また、骨粗しょう症にならないためにもカルシウム・ビタミンDと共に欠乏しないように気を付けなければなりません。
※ビタミンKは、通常摂り過ぎても害がありません。
但し、血栓症にかかっている人や抗血液凝固剤を服用している場合は、摂り過ぎないように気を付けなければなりません。
●葉酸(ビタミンB群)
- 貧血予防
- 皮膚、粘膜の強化
- 動脈硬化予防
- 胎児の正常な発育
葉酸は、ビタミンB12と共に全身に酸素を運ぶ赤血球をつくります。
鉄を摂っていても葉酸とビタミンB12が不足すると貧血になります。
皮膚や粘膜を強くする葉酸(ビタミンB12と共に)。
皮膚や粘膜は、最初にウイルスや細菌などの外敵にさらされる器官であるため、強化することで外敵の侵入を防ぐことができ感染症やアレルギーなどを予防することができます。
※体にある粘膜は、鼻や口の中の粘膜・のどの粘膜・胃や腸の粘膜・膀胱や子宮の粘膜などといった様にたくさんの粘膜があります。
ビタミンB12は、魚介類やレバー・焼きのりに多く含まれています。
かつお節出汁や煮干し出汁のお味噌汁などにせりを入れたり、魚料理にせりを添えたり、一緒に炒めるなどして食べると良いでしょう。
この葉酸とビタミンB12の組み合わせが、動脈硬化も予防します。
↓「オレンジページnet」で、良い組み合わせのレシピが紹介されています。
□ビタミンC
- 抗酸化作用
- コラーゲンの生成
- 鉄の吸収アップ
- 抗ストレス作用
- 抗ヒスタミン作用
- 利尿作用
- ガン予防
- 有害金属の毒性軽減
コラーゲンの合成促進や活性酸素の除去し多くの生理作用に役立ちます。
身体をつくるたんぱく質の1/3はコラーゲン。
コラーゲンは、血管・筋肉・骨・皮膚などの細胞をつなぎ丈夫に保ちます。
ビタミンCは、コラーゲンの合成を助けて皮膚のシミやしわを防ぎ、傷や炎症などが早く治ります。
抗酸化力が強いビタミンCは、体内の酸化を防ぎ動脈硬化を予防します。
また、悪玉のLDLコレステロールを減らし、善玉のHDLコレステロールを増やします。
さらに、血圧上昇の抑制や免疫力アップ・細菌感染症に対する抵抗力も高め良い事だらけです。
ビタミンCが不足すると欠乏症になり、強い疲労感や関節痛などを引き起こします。
その他ビタミンCの効果
- 抗腫瘍作用
- 尿酸を減らす
- 血液中のアルコール排出促進
- 寒冷抵抗力を高める
- 痛みの軽減
- ウイルスを殺す
- 細菌の毒素中和
ビタミンCが不足する原因
厚生労働省によるビタミンCの食事摂取基準の推奨量は、12歳以上で1日100mgとされています。
ですが、わたしたちはその半分程しか摂取できていないと言われており、またストレスなどによってもビタミンCが多量に消費されています。
体内のビタミンCが不足する原因、不足しやすい人は以下の通りです。
- 飲酒
- 喫煙
- 受動喫煙
- ストレス
- 大気汚染
- 妊婦、授乳婦
- 激しい運動をする人(大量の汗とともにビタミンCが失われます。)
- 病気の人や、薬を常用している人
- 高齢者
□カリウム
- 浸透圧の調整
- 心臓や筋肉の機能調整
- 高血圧予防
- 利尿作用
カリウムの多くは、細胞内に分布しています。
細胞外液に多く分布するナトリウムと協力して心臓の拍動や神経伝達をスムーズに調整します。
水分量も調節し筋肉も動かしています。
また、カリウムを摂取することでナトリウムの排出を促し血圧を正常に保ちます。
酸とアルカリの平衡を保ち、酵素反応を調整しエネルギー代謝にも関与しています。
ナトリウムと協力して働くカリウム
せり自体は、ナトリウムが少なめですが現代人は塩分過多気味の人が多く、通常の食事をしていれば体内のナトリウムが欠乏するような事はありません。
塩分過多により体内調整でカリウムが使われ、カリウム欠乏にならないように気を付けなければなりません。
つまり、塩分の摂り過ぎに気を付け、カリウムを積極的に摂ることが大切です。
カリウムは水溶性のため調理の際は失わないように気を付けましょう。
注 カリウムは腎不全の場合には禁忌です。
また、腎臓の機能が低下している人はカリウム制限が必要になります。
□鉄
- 貧血予防
- 筋肉を動かす
- 有害金属の毒性軽減
血液中の赤血球にあるヘモグロビンは、たんぱく質のグロビンとヘムが結合した色素たんぱく質です。
ヘモグロビンは、全身に酸素を運んでおり、鉄はヘムをつくるのに不可欠な成分です。
鉄は、筋肉のミオグロビンと結合して酸素の運搬と貯蔵を行っています。
そのため、鉄が欠乏すると酸素を取り込めなくなり筋力が低下します。
また、解毒に必要なシントクロムという酵素をつくるのに必要です。
シントクロムは、ホルモンをつくったり脂肪酸の代謝にも関わっています。
体内でコラーゲンを合成する際に必要なのは、鉄とビタミンCです。
そのため、鉄が不足するとコラーゲンが合成できず、ハリが無くなりシワができやすくなります。
レバーなど動物性食品に含まれているのは「ヘム鉄」。
吸収率が低い非ヘム鉄は、動物性たんぱく質や、ビタミンCが多い果物と一緒に摂ることで吸収率がアップします。
□銅
- 鉄とヘモグロビンの結合補助
- 鉄の吸収促進
- 酸化防止
- 貧血予防
銅は、鉄と共に細胞呼吸やエネルギー代謝に重要な役割を担っています。
活性酸素の消去にも関与しおり、酸化した脂質が血管にたまるのを防いで健康を維持します。
また、鉄の輸送と代謝にも関わっていますので銅が無ければ貧血を予防することはできません。
銅は、摂取量が少ない時は吸収率が高く、多い時は吸収率が低くなり過剰症を防ぎます。
●マンガン
- 骨、脂質、皮膚の代謝や成長を助ける
様々な酵素をつくるのに必要なマンガン。
土壌、淡水、海水などに広く分布しています。
食品には、穀類や種実類などに多く含まれています。
マンガンは、骨に最も多く含まれ成長期には骨の発育に欠かせません。
酸化ストレスに対抗するためにも必要なミネラルです。
また、糖質や脂質の代謝を助ける酵素をつくるためにも必要です。
そのため、不足すると逆に糖脂質・骨・皮膚の代謝などに影響を及ぼし生殖機能も低下すると言われています。
ケルセチン
せりにはケルセチン(ポリフェノールの一種)が含まれています。
- ダイエット効果
- 抗炎症作用
- 抗酸化作用
- 高血圧予防
- 免疫力アップ
ケルセチンは、脂肪分解酵素の活性化を促す働きがあるとされています。
肝臓に含まれる脂肪の燃焼・排出や消化官での脂肪吸収抑制などが期待されており、メタボリックシンドロームを抑制する働きがあると考えられています。
花粉症やアトピー性皮膚炎・気管支喘息などを引き起こす物質としてヒスタミンがありますが、ケルセチンがヒスタミンの働きを抑制しアレルギーなどの症状を軽減すると考えられています。
ケルセチンはビタミンPの働きをします。
ビタミンPはビタミン様物質で、ビタミンCの機能を助ける作用があります。
高血圧を予防したり、免疫力を高めて風邪を引きにくくし、また出血性の病気の予防にも効果があると言われています。
いかがでしたでしょうか。
せりは抗酸化作用のあるビタミンや、カリウム・鉄・銅・マンガンなどのミネラルが豊富に含まれています。
高血圧や貧血、風邪など様々な病気の予防に役立ちそうです。
また、脂肪の吸収を抑制するケルセチンによりダイエット効果も期待できます。
せりは、葉から根っこまで香り高くとても美味しいです。
根っこを使う料理には、せり鍋・天ぷら・炒め物などがあります。
ぜひいろいろなお料理に取り入れてみてください。
ありがとうございました。